税務訴訟とは、税務一般に関する訴訟のことを言い、行政による処分や裁決に不服がある場合に、その取消や違法性の確認、損害賠償を求めることができます。国民は法の根拠なく税を課されてはいけないという租税法律主義を実現するための制度です。一方で、税務訴訟は勝訴となるのは1割未満であり、勝てない訴訟と言われています。2015年の訴訟件数はわずか231件であり、年々減少傾向にあります。
税務調査について
税務訴訟に至るまでに行われる税務調査は、納税者による税務申告が適正に行われたかを確認する制度です。資本金が1億円以上の企業は国税局、1億円未満の企業や個人事業主であれば税務署によって行われます。この税務調査で問題や誤りがあった場合、修正申告や更正処分を受けます。
■修正申告
申告内容の問題を指摘された場合に、その誤りを認め修正に応じることです。
■更正処分
指摘に対して修正申告に応じない場合、更正処分を受けます。更生の理由や金額が記載された更生通知書が送られてくるので、再検討を促されます。
税務訴訟の流れ
税務訴訟は、税務訴訟は民事から行政における訴訟まで多岐にわたりますが、その大半が行政処分や裁決の取り消しを求める取消訴訟です。ここでは取消訴訟の流れについて説明します。
1.更生処分に不服がある場合、異議申立てを行う。
2.申立てに対する異議決定に不服がある場合、国税不服審査所へ審査請求を行う。
3.審査請求に対する裁決に不服がある場合、租税訴訟に進む。
取消訴訟は不服申立前置主義が取られており、訴訟の前に行政の専門機関で二段階の審理をしてからでないと裁判に進めない方針が取られています。これは税務訴訟の件数が少ない要因の一つでもあります。
メリット
税務調査時の修正申告や申立て時などに、立会や適切なアドバイスを受けたり必要資格があれば書面の作成を代行してもらえるなどのメリットがあります。また訴訟の際には税理士補佐人制度があることにより、税理士と連携して裁判を進めることができます。
デメリット
日本の税務訴訟は通常の訴訟とは違い、厳格な立証が必要とされます。税務訴訟を取り扱えるような税法に精通した弁護士や、訴訟に慣れている税理士の数が少ないのが現状です。