少年事件とは、20歳に満たない未成年による犯罪のことを言います。成人の刑事手続きが犯人を特定し刑罰を科す目的であるのに対し、少年事件の手続きは罪を犯したまたは犯す可能性のある青少年の更生が目的であるところに大きな違いがあります。
少年事件の手続きの流れ
少年事件は、非行を犯した少年を刑罰に処すことでなく保護や育成の目的があるため、通常とは異なる流れで手続きが行われます。事件の発生後警察署や検察庁で取り調べが行われると、成人事件では微罪や不起訴処分で事件終了となるところを、少年事件の場合は少しでも犯罪の疑いがある場合はすべて家庭裁判所に送られます。そして家庭裁判所で審判(非公開の裁判)が行われ、保護処分、刑事処分、不処分が決まります。
保護処分
保護処分は、教育的な措置により少年の更生が図れると判断された場合に付される処分です。保護処分には、保護観察、児童自立支援施設等への送致、少年院への送致があります。
■保護観察
保護観察官や保護司の監督の下、少年の更生が見込めると判断された場合は、保護観察処分となります。
■児童自立支援施設・児童養護施設送致
比較的低年齢の少年が、社会復帰のために周囲を取り巻く環境の中での生活指導が必要だと判断された場合、児童施設へ送られます。
■少年院送致
施設に収容し、矯正的な教育によって社会へ順応させる必要があると判断された場合は、少年院へ送致されます。
刑事処分
更生のためには保護処分ではなく刑事処分が必要であると判断された場合は、通常と同じように罰金、有期、無期懲役・禁錮刑が科されます。ただし、死刑は無期懲役に、有期懲役は年数制限が設けられるなど刑が緩和されます。
審判不開始、不処分
審判前または過程において、少年の更生が十分に見込めると判断された場合は、不処分とし保護観察とせず手続きを終えます。
弁護士に依頼するメリット
少年事件における弁護士の役割は、少年の法的支援はもちろんのこと、弁護人や付添人として捜査段階から処分決定後まで、精神的なケアを行うことにもあります。勾留状態にあり精神的に不安定な少年が、取り調べの際に不用意な発言をしないよう親身にサポートします。弁護によっては審判不開始、不処分に収められることも可能です。
弁護士に依頼するデメリット
取り調べなどの慣れない環境では、大人に対しての不信感が大きくなっています。そんな中、少年事件の取扱に慣れていない弁護士に依頼してしまうと、少年を刺激してしまいかえって事態を悪化させてしまうこともありえます。