大手広告代理店で起きた社員の過労自殺事件が記憶に新しいですが、このような残業過労問題をはじめとする労働に関する問題は、バブル崩壊後の日本において深刻な社会問題にまで発展しています。働いている誰もが経験する可能性があり、一方で何か問題が起きても事を荒立てたくないと言った理由で泣き寝入りをしてしまう人が多いのも問題の一つです。不当な待遇を受けたとき、個々人が泣き寝入りをせずに勇気を持って立ち向かうことが包括的な問題解決の第一歩となります。
労働問題について
労働問題には様々な種類が存在します。代表的なものに、不当な解雇、給与に関する問題、人事、労働環境、セクハラ・パワハラなどが挙げられます。
不当な解雇に関する問題
就業規則に反する行為をしていないのにも関わらず突然解雇されてしまった、また企業の業績不振を理由に事前の相談なく突然解雇されてしまった、そんな場合は不当な解雇である可能性があります。企業は従業員を解雇できる立場ではありますが、就業規則に定められた段階や手続きを踏んでからでないと、正当な解雇とは認められません。
給与、残業代の未払いに関する問題
従業員への給与や残業代の未払いなど、お金にまつわる問題は非常に多くのトラブルを生んでいます。1日8時間、週40時間を超えて労働させてはならないと法律で定められており、この所定労働時間を超えた場合、企業は残業代を支払う義務が発生します。給与の未払いは犯罪にあたります。未払いが発生した場合には、仕方ないと目をつぶらずに会社に直接申し出るか、労働監督署に申告しましょう。
雇用条件などの問題
営業職で採用されたのに事務職に配属された、給与が条件よりも低く支払われているなど、採用時に提示されていた雇用条件と異なった給与や配属を強いられた場合、労働者は契約を解除することができます。また人事異動により従業員に不利益が被る場合は、個別での同意が必要になりますので、企業は本人の同意なく条件を変更することはできません。
労災含む労働環境の問題
業績の振るわない企業や小規模な企業では、十分な雇用人数が確保できず一人あたりの労働量や責任が必然的に大きくなります。このような環境では慢性的な長時間労働や過度のストレスが増え、体調の悪化を招いたり、最悪の場合、死に至るケースもあります。個人の体調管理の問題ではなく、企業が適切な労働環境を提供していないからこそ起きる問題であり、企業は普段から社員が良好な環境で働けるように努力をする必要があります。
セクハラ・パワハラなどの精神的ダメージ
セクハラとパワハラは職場での力関係が背景にある問題です。セクハラとは、性的な言動により相手に不快な思いをさせたり、それにより労働上の不利益を与えるような行為を言います。またパワハラとは職場での権利を利用して過度の叱責をしたり嫌がらせをしたりすることを言います。セクハラやパワハラは、職場の雰囲気を悪くしたり従業員の働く意欲を削いでしまうため、企業にとってもマイナスな問題です。人事の配慮や社内のパワーバランスの調整が必要不可欠です。
労働問題の解決方法
まず降りかかった問題についてのいきさつや時系列、具体的な数字を挙げて説明できるように準備をしましょう。例えば給与や残業代の未払いであれば、タイムカードや給与明細のコピーを用意し、未払いの根拠を示す必要があります。それも持って労働基準監督署へ申告すれば会社は対応せざるを得ません。または対企業とのやりとりとなるため、安心してことを進めたい場合は法律事務所などの専門家に相談するとスムーズです。
弁護士に依頼するメリット
専門的な知識があるため具体的なアドバイスや指示をしてくれたり、対企業との交渉をすべて代行してくれます。労働審判や訴訟に発展しても、代理人として出頭してくれ、有利に進めることが可能です。企業側で弁護士を雇うメリットとしては、トラブルが起きないための就業規則の見直しや事態の悪化防止が挙げられます。
弁護士に依頼するデメリット
労働基準監督署でも解決できる可能性がある中、弁護士へ依頼するとその分費用がかかります。