すべての人は生まれながらに平等で自由であり、幸せに生きる権利があります。この権利を無視し個人の尊重を揺るがす行為を人権侵害といい、誰もが被害者や加害者になりうる社会では様々な形で人権の侵害が起こります。
人権侵害の種類
法務省は人権侵害を差別、虐待、公権力による侵害、メディアによる侵害、その他侵害に分類しています。
■差別
性別、人種、出自、病気などへの差別的扱いから生じる人権侵害の例として、雇用差別、商品やサービスの提供拒否、結婚交際に関する差別、セクハラ、いやがらせや暴力、侮辱・中傷などがあります。差別が明示的に禁止されていない部分があり救済対象が明確でないことから対応がしにくいという問題があります。
■虐待
女性や高齢者や児童などの社会的弱者への虐待も人権侵害になります。家庭内や施設内で起こると、問題が潜在化してしまい早期発見が困難であったり警察が介入しにくいなどの問題が挙げられます。
■メディアによる侵害
マスメディアの報道やインターネットを通したプライバシー侵害や名誉自損があります。マスメディアによる侵害は表現の自由や報道の自由との衝突があります。インターネットによる侵害は、規制や犯人の特定が難しいなどの問題が挙げられます。
■公権力による侵害
捜査手続きに伴う暴力行為や施設拘束など、公務員の公権力による侵害があります。抑止力として行政不服審査や内部監査の制度がありますが、施設内の出来事であるため問題の発覚がしにくく、立証が難しいことが問題として挙げられています。
■その他侵害
障害者や高齢者の財産権侵害があります。被害者当人の被害認知の欠如により発覚が困難であると指摘されています。その他犯罪被害も人権侵害として位置付けられています。
人権侵害の救済措置
人権が侵害された際の救済措置として、法による規制や司法と行政による救済措置があります。法規制は侵害のケースによってどれが適用されるのかは様々ですが、司法と行政の救済措置は多くの侵害に対して共通して有効です。
■司法の救済措置
司法の救済措置として、損害賠償の請求や、侵害行為への差止め請求が可能です。また民事調停、仮処分、訴訟手続きが可能です。被害者の経済的・時間的な負担が大きいとされています。
■行政の救済措置
法務局に被害の申し出をすることで、人権擁護機関による人権侵犯事件調査処理手続きができます。
1.法務局に被害の相談や申告を行う。
2.調査機関による任意の調査が行われる。
3.調査結果に基づき、被害者への助言や関係者への啓発、必要があれば刑事告発などの措置がなされる。
あくまで目的は関係者同士の関係改善や自主的な解決を促すことであるため、これらの措置に強制力はありません。
弁護士に依頼するメリット
被害者に代わって犯人の特定、差止め請求や損害賠償請求、訴訟の手続きを行ってくれます。被害者の時間や精神的な負担を軽減することが可能です。
弁護士に依頼するデメリット
依頼費用がかかります。法務局へ相談すると一切の費用がかかりません。目的が差止め請求の場合には、法務局への相談も有効です。