友人AさんとBさんに10万円を貸した場合、特別な事情がない限りはAさんとBさんにそれぞれ半額5万円ずつ請求することになります。このように債務者が複数いる場合、民法では個別に債務が発生する分割債務を原則としています。
しかし分割債務の場合、仮にAさんが破産してしまい5万円の返済できなくなったとしても、Bさんには5万円以上のお金を請求することはできないため、5万円は泣き寝入りすることになってしまいます。
このような事態を避けるために、10万円をAさんBさんの連帯債務として貸し付けることで、AさんとBさんにそれぞれ10万円ずつ請求することが可能となります。
ここでは債権者にとって有効な方法の一つである、連帯債務について説明します。
連帯債務とは
一つの債務に対して複数の債務者がいる場合、債務者がそれぞれ独立して債務責任を負うことを連帯債務といいます。連帯債務では、債務者全員が全額の弁済義務を負うことになります。
例えば、Aさんは、BさんCさんを連帯債務者として1,000万円の家を売りました。この時BさんとCさんは独立して1,000万円の債務を負うことになりますので、AさんはBさんCさんそれぞれに1,000万円を請求することができます。
仮にBさんとCさんが内々で半分ずつ払うという取り決めをしていたとしても、連帯債務者である以上Aさんが請求すれば1,000万円支払う義務があるのです。
Bさんだけに1,000万円の請求をしても良いですし、BさんとCさんに同時に1,000万円を請求しても構いません。また、資金に余裕のあるBさんには850万円、Cさんに150万円と分けて請求しても問題ありません。
とにかくAさんはどちらか一方からでも1,000万円を回収できればよいわけです。BさんとCさんにそれぞれ500万円ずつの請求と回収を行うよりも確実な方法だといえます。ただしAさんは合計1,000万円を超える額を受け取ることはできません。
■債務者同士の請求が可能
自分の負担すべき額を超えて支払っている債務者は、別の債務者へ超過分の請求が可能です。これを求償権といいます。上記の例で、BさんがAさんに全額1,000万円支払った場合、BさんはCさん対して500万円分請求できるということになります。
連帯債務における債権回収のメリット
連帯債務の場合、債権者は連帯債務者のうち誰にでも全額を請求することが可能です。債務者を増やすことによって、未収のリスクを減らすことができるのです。
しかし債権回収についての効果的な方法はケースによって異なってきますので、債権回収の専門家である弁護士に相談することでよりよい方法を選択することができます。また債権には時効がつきものですので、確実性を高めるには早期の対策が大切です。