日本の刑法が規定する中で最も重い罪は「外患誘致罪」という犯罪です。外患誘致罪は、外国と通謀して日本に対して武力を行使させる行為をいいます。この外患誘致罪とはどのような罪なのでしょうか?
死刑のみの絶対的法定刑
外患誘致罪の法定刑は死刑のみであり、現行の刑法で最も重い罪であるとされています。通常刑罰は、「○年以下の懲役若しくは禁錮又は○万円以下の罰金」のように、刑種や刑期について裁判所に裁量の余地が与えられていますが、この外患誘致罪については絶対的法定刑といって、一切裁量の余地のない刑となります。つまり死刑確定の罪ということです。
どのような行為が外患誘致罪になるのか
外国と通謀して日本国に対し武力を行使させる行為と定められています。ここでいう外国とは、テロ組織などの多国籍集団は含まない、国家そのものを指します。つまり他国家と共謀して、日本に軍を攻め入れさせたり、軍艦やミサイルなどで攻撃させることをいいます。死者などの被害がでなくても、実際に武力の行使があった時点で罪が成立します。
関連する刑として、外患援助罪があります。外患援助罪は、外国から日本への武力行使に加担する行為です。法定刑は、死刑又は無期若しくは2年以上の懲役となります。またこれを準備・計画した場合でも、外患予備罪・外患陰謀罪として1年以上10年以下の懲役に処せられるとしています。
これら外患罪は、国家反逆罪であり、国家の存立にも関わる問題であるため、いずれも重い罪となるのです。
適用は一度もない
2017年現在までに、外患誘致罪は一度も適用されたことがありません。死刑という選択肢しかないことや、外交問題や戦争にも発展してくるため、適用が難しいとされます。
おそらく普通の方が外患誘致罪に問われる機会はないかと思いますが、驚くことに弁護を行っている事務所もあるようなので、万が一逮捕された場合は相談されてみてはいかがでしょうか?
日本で最も重い罪については、こちらの記事で詳しく解説されています。あわせてご確認ください。