自分の犯してしまった罪に対して、悔い改め謝罪の気持ちを表すための贖罪寄付。悪く言えば、お金を払うことで罪を軽くすることができる制度でもあります。実際に、贖罪寄付によって不起訴となったり、執行猶予付きの判決が出ることもあります。刑事事件における贖罪寄付について紹介します。
贖罪寄付とは?
贖罪寄付は、罪を犯した人が被害弁償を行うことができない際に、代替手段として公益活動団体などに寄付をする制度をいいます。例えば、被害者が示談金の受け取りを拒否している場合や、スピード違反、違法薬物密輸など被害者のいない犯罪を起こした場合に、償いの気持ちを表す方法として贖罪寄付が用いられます。
贖罪寄付は、法テラスや弁護士会などの司法関連組織やNPO団体などで受け付けられており、寄付をすると証明書が発行されます。この証明書は裁判の情状資料として使われることもあり、贖罪寄付により執行猶予がつくケースもあります。
贖罪寄付は何に使われているの?
贖罪寄付によって集まったお金は、公益団体の活動費用として使われています。贖罪寄付は罪を犯してしまった人ができる社会貢献であるといえます。
■法律援助事業
高齢者、子供、障害者、犯罪被害者、外国人など、法的サポートを必要としているが自らでは弁護士費用を賄うことのできない人への援助金として使われています。
■犯罪被害者支援
犯罪被害者への情報提供、カウセリング、金銭的支援などの自立支援のために使われています。
いろいろな被害弁償
被害者がいる場合には、贖罪寄付よりも供託による被害弁償の方が有効なケースもあります。
供託は、金銭を法務局に預け、間接的に被害者へと渡してもらう方法です。被害者が示談金の受け取りを拒否している際には、供託をすることで弁償と同等の効果を得ることができます。相手が受け取っていても受け取っていなくても、裁判上被害弁償をしたとみなされ、反省の努力が認められたとして判決に有利に働くことがあります。
贖罪寄付や供託は、刑事弁護において有効な方法ではありますが、必ず罪を軽くできるというものではありません。例えば贖罪寄付は、被害者の処罰感情が強く働く犯罪では効果が薄いとされています。弁護士との相談の上、適切な方法が判断されることになります。