長年の経験と実績を持ちながらも、敷居の低い事務所をコンセプトに幅広い分野で業務にあたる田中喜代重弁護士。テレビの出演経験も多数あります。そんな先生に本日はインタビューさせていただいた。
書籍
自分で出来る遺言書(二見書房)
判例タイムズ
民事損害賠償「企業主の逸失利益」
株式会社取締役の第三責任
留日台湾同郷会
無尽講の法的考察
法学書院
など
テレビ出演多数
所属弁護士会:第一東京弁護士会
先生が弁護士を志した理由は?
景気の変動に余り左右されない国家資格を取った方がいいかなと考えたのが最初のきっかけです。 国家資格で何があるかと考えた時に、当時は弁護士かお医者さんがすぐに頭に浮かびました。
私が小さい頃は、弁護士を主役にした海外ドラマや国内のドラマもけっこうあったので、なんとなく弁護士に憧れみたいなものはありましたし、専門知識を用いて人間の抱えるトラブルを解決することにやりがいを感じていました。法律というものに準拠して社会秩序と正義を実現するという理念にも惹かれ、弁護士を含めた法曹になろうという気持ちは強かったです。
また、父親の知り合いに弁護士がいてその姿がかっこよかったので、その影響も少なからずあったと思いますね。
栄和法律事務所の特徴って?
私と同期の2人の弁護士でやっている事務所です。
大きい事務所ですと、事務所長が受任した事件を若い人に任せてしまったりということがあるのですが、当事務所の場合は、私の依頼者は私が責任をもって最後まで対応させていただいています。また、流れ作業的な対応は行わず、お互いに信頼関係を築きながら依頼者のニーズを汲み取って事件処理を行うように努めています。
相談に来られた方に対しては、話をよく聞くことに注力しています。一般の方の場合は、裁判を前提とした場合に、何が必要で、何を言うべきかは基本的には分からないと思います。話の中にはコアになる部分もあればあまり関係のない部分もあり相談に来られた方はそれを一緒くたに話されることが多いです。法律家からすると周辺状況も大事で、それにもとづいて紛争が起きている部分もあるので話をよく聞いてその中で整理するようにしています。ただ、あまり感情移入してしまうと、正確な判断ができなくなりますので、プロの目で、取捨選択できるように1歩引いたところから、話を聞くことを心がけています。
今後の弁護士業界とその中での先生の展望について教えてください。
AIの発達を念頭に置かないといけない時代がきています。
今までは弁護士などのプロ集団に知識が独占されていましたが、インターネットの発達により一般の方も多くの知識を得られるようになりましたし、判例検索や法令の適応などに関しては、今後データベースを活用したAIに取って代わられると思っています。
まだまだ先のことかと思っていましたが、日進月歩の発達を見ていると意外とそれほど遠くない将来の話になってきていると思いますね。
ある前提条件をもとに裁判での判断を検索できたり、さらにAI化が進むと曖昧な条件でも検索できるようになってきます。弁護士業務の多くの部分が取って代わられるという現状を前提にこれからの業態を考えていかなければならない時代になっていくと思います。
弁護士としては、AIに使われる、ではなくて、AIを使えるポジションに立つことが重要ですし、今後弁護士として求められるのは、AIでは処理しきれない部分の判断ということになってきます。人の心や好みや考え方などについて的確な判断ができ、AIを使いながら最後の最後は世間一般の風潮も考えた上で、クライアントの気持ちを実現化することが重要です。
今後は、そういった枠組みの中でどれだけクライアントの利益の最大化がはかれるかに業務の中心は移っていきます。そういう意味では、コンサルタント業務的な色合いもけっこう強くなっていきますし、創造的なものを提案できるように業態を広げていく必要があります。
司法制度改革で弁護士の人数も増え、より競争が激化していく中で、科学の発達に伴い、旧態の弁護士業務だけやっているようでは厳しくなっていくと思いますね。