四輪車と二輪車の事故の場合、無防備な二輪車の方が大きな被害になりやすく、交通弱者と認識されています。過失割合についても、四輪車同士の事故よりも二輪車のほうが過失が低く判断されているようです。
交差点事故での基本過失割合
交差点では、信号機や道路標識によって優先通行が判断されます。
■信号機のある交差点での事故
信号機のある交差点では、どちらかが信号無視の場合は100:0になりますが、四輪者同士の事故と比較すると、同じ状況でもバイク側のほうが若干過失割合が低くなることがわかります。
別の方向から交差点に直進進入したバイクと車が衝突した場合、下記のようになります。
青信号で交差点に進入したバイク(車):赤信号で交差点に進入した車(バイク)=0:100
黄信号で交差点に進入したバイク:赤信号で交差点に進入した車=10:90
黄信号で交差点に進入した車:赤信号で交差点に進入したバイク=30:70
赤信号で交差点に進入したバイク:赤信号で交差点に進入した車=40:60
バイクが直進で、車が右折をして衝突した場合、下記のようになります。信号無視がない限り、直進優先のバイクの方が低い過失割合となります。
青信号で交差点に直進進入したバイク:青信号で右折しようとした車=15:85
黄信号で交差点に直進進入したバイク:黄信号で右折しようとした車=30:70
赤信号で交差点に直進進入したバイク:赤信号で右折しようとした車=40:60
赤信号で交差点に直進進入したバイク:右折信号で右折しようとした車=100:0
車が直進で、バイクが右折をして衝突した場合、下記のようになります。直進四輪車のほうが優先となりますが、過失割合は高めに設定されています。
青信号で交差点に直進進入した車:青信号で右折しようとしたバイク=30:70
黄信号で交差点に直進進入した車:黄信号で右折しようとしたバイク=50:50
赤信号で交差点に直進進入した車:赤信号で右折しようとしたバイク=60:40
赤信号で交差点に直進進入した車:右折信号で右折しようとしたバイク=100:0
■信号機のない交差点での事故
信号機のない交差点の場合、道路標識によって優先道路が示されています。通常、優先となる道路を走行している車両の方が、過失が小さくなります。この場合でもバイクの方が過失割合が低く設定されています。
向かって左方向から進入したバイク:正面方向に進入した車=30:70
向かって左方向から進入した車:正面方向に進入したバイク=50:50
交差点に進入したバイク:一時停止を無視して交差点に進入した車=15:85
交差点に進入した車:一時停止を無視して交差点に進入したバイク=35:65
交差点に進入したバイク:一方通行を無視して交差点に進入した車=10:90
交差点に進入した車:一方通行を無視して交差点に進入したバイク=30:70
広い道路から交差点に進入したバイク:狭い道路から交差点に進入した車=20:80
広い道路から交差点に進入した車:狭い道路から交差点に進入したバイク=40:60
優先道路を通行しているバイク:優先道路に入ろうとした車=10:90
優先道路を通行している車:優先道路に入ろうとしたバイク=30:70
交差点に直進したバイク:右折した対向車=15:85
交差点に直進した車:右折した対向車両のバイク=30:70
■交差点での修正要素
さらに互いの過失程度に加えて、下記の修正要素が考慮される場合もあります。
過失が減るケース | 過失が増えるケース |
・減速している(-10~-20) ・先に交差点に進入している(-10~-20) |
・大型車(+5) ・速度違反(+10~20) ・ウインカーなし(+10) |
交差点以外の事故での基本過失割合
交差点以外での事故では、対向車や前後車両との事故、駐車場スペース内での事故があります。
■対向車との事故
直進走行車(バイク):センターラインオーバーバイク(車)=0:100
直進走行バイク:路外への右折車=10:90
直進走行バイク:転回車=10:90
■後続車との事故
直進先行車:追越禁止車線での後続追越バイク=20:80
直進先行車:追越禁止でない車線での後続追越バイク=30:70
転回終了直後の直進先行車:直進後続バイク=80:20
転回終了直後の直進先行バイク:直進後続車=60:40
理由なく急停止した先行車:後ろから追突した後続バイク=40:60
理由なく急停止した先行バイク:後ろから追突した後続車=20:80
駐停車している車:後ろから追突した後続バイク=0:100
ドアを開けた車:ドアにぶつかったバイク=100:0
■交差点以外での修正要素
過失が減るケース | 過失が増えるケース |
・減速している(-10~-20) ・先に右左折している (-10~-20) |
・速度違反(+10~20) ・ウインカー、ハザードランプ遅れ又はなし(+10~20) |
高速道路上の事故での基本過失割合
高速道路ではスピードも出ているため、二輪車側は特に甚大な人身事故となることが多くなっています。
■車線変更による事故
本線走行中のバイク:加速車線から本線への合流車=20:80
本線走行中の車:加速車線から本線への合流バイク=40:60
追越車線走行バイク:走行車線から追越車線へ進路変更しようとした車=10:90
追越車線走行車:走行車線から追越車線へ進路変更しようとしたバイク=30:70
走行車線走行バイク:追越車線から走行車線へ進路変更しようとした車=20:80
走行車線走行車:追越車線から走行車線へ進路変更しようとしたバイク=40:60
■同車線中の事故
急ブレーキをした先行車:後続の追突バイク=60:40
急ブレーキをした先行バイク:後続の追突車=40:60
積載物を落とした先行車:積載物によって事故となった後続バイク=80:20
■高速道路での修正要素
高速道路の場合、一般道路よりも過失の割合が重く設定されるケースが多くなっています。
過失が増えるケース |
・速度違反(+10~20) ・側面衝突(+10~20) ・危険運転(+10~20) ・ウインカー、ハザードランプ遅れ又はなし(+10~20) ・ゼブラゾーン走行(+20) |