無料相談を受け付ける法テラスは、トラブルに巻き込まれた市民の味方ともいえる存在です。近年は法的な手段によってトラブルを解決するニーズが高まってきており、法テラスには連日多くの相談が寄せられています。
ただし法テラスは基本的には情報提供機関ですので、誰でも相談を受け付けてもらえるわけではなく、相談についてもある程度の制限が存在します。
この記事では法テラスでできること、法テラスの限界についてまとめています。
法テラスとは
法テラス(正式名称:日本司法支援センター)は、法務省管轄の準独立行政法人です。国民が法的サービスを円滑に受けられるよう支援を行う機関として設立され、全国に約110箇所の拠点が存在します。国営機関のため、通常の法律事務所では請け負わないような採算の合わない案件も取り扱うことができます。
職員はみなし公務員であり、常勤のスタッフ弁護士も在籍しています。ちなみに法テラスのスタッフ弁護士は、待遇が保障されているため、就職難の弁護業界では人気の就職先でもあります。
法テラスでできること
法テラスでは具体的に次の3つの法的サービスを受けることができます。
■法的サービスの総合案内所
法テラスに法的トラブルの相談をすることで、解決に役立つ法的制度の案内や、弁護士事務所などの紹介を受けることができます。あくまで相談受付窓口であり、通常の法律事務所で行っているような法律相談とは異なります。
また、犯罪被害者に対しても法的サービスの情報提供を行っています。
■貧困層への無料相談や費用立て替え
経済的に余裕のない個人に向けて、無料法律相談や弁護士・司法書士費用の立替を行う民事法律扶助業務を行っています。利用するには下記の条件を満たしている必要があります。
1.資力が一定額以下であること
2.勝訴の見込みがないとはいえないこと
3.報復や宣伝目的など趣旨に合わない訴訟でないこと
法テラス以外でも、法テラス契約弁護士・司法書士であれば民事法律扶助を受けることができます。「法テラス利用ができます」などと掲げている事務所は法テラス契約事務所です。また法テラスで自宅近くの契約弁護士を紹介してもらうことも可能です。
■国選弁護士選任の手続き
法テラスは裁判所からの要請を受け、国選弁護人契約を結んでいる弁護士の中から国選弁護人の候補を指名する業務を行っています。
■司法過疎地域でのサービス
弁護士の少ない司法過疎地域に地域事業所を設置することで、法的サービスへのアクセス整備を行っています。地方自治体や関係機関と提携を行い、地域に密着したサービスの提供を行っています。
法テラスの限界
法テラスの民事法律扶助制度や過疎地域対策により、より多くの人が法的サービスを受けられるようになりました。法テラスは社会的弱者が等しく司法の恩恵を受けられるための制度であるといえます。
一方で最低限のサービスを保障するものであるため、必ずしも良いサービスを受けられるとは限りません。
無料相談は上限30分の相談が3回までであること、また担当する弁護士は選択できないため当たりハズレがあることなど制限も存在します。弁護士の質がピンきりであることは法テラスに限らず通常の弁護士事務所でもいえることではありますが、やはり安かろう悪かろうという一面も否定は出来ません。法テラス経由の案件は通常の相場の5割程度の報酬額となるため、善意での請負でなければ本当に仕事に困っているような弁護士も少なからず存在するのです。
法テラスの利用自体は何のデメリットもないため、利用する価値は十分にありますが、法テラス以外にも無料相談を行っている事務所もありますので、手段の一つとして考えておくことをおすすめします。債務整理や離婚問題といった相談内容に特化した事務所を探すということも大切です。